岡谷鋼機（株）のシステム企画部と一緒にシステムを企てるのが、企画推進部の役目です。販売管理システム、物流システム、会計システム、貿易システム、基幹システムなど、ありとあらゆるシステムが対象。岡谷鋼機はもちろん、国内外に拠点をおくグループ会社のシステムまで構築・改修します。社内で設計・開発することもありますが、外部パートナーやソフトウェアの売り手（いわゆるベンダー）と一緒に仕事を進めるのが基本。「どんな使い方をするのか」「どう画面操作ができると楽になるか」「どうすると見やすく、効率的か」「ボタンやアイコンは必要か、形はどうするのか」など、ユーザーの視線から画面の仕様などを決めていきます。企画推進部の中でも、私が所属するのは2015年に発足された海外チーム。その名の通り海外案件を担当します。グループ企業は海外だけでも30社以上あります。メキシコ、中国、韓国、オーストラリア、インドネシアなど、システム構築に向けて年に数回さまざまな国へ足を運んでいます。

海外の仕事において、言葉の壁以上に大きいのが文化の違い。例えば中国のグループ会社で会計システムを構築した際のことです。それまでは同社の営業担当が仕入金額をシステムへ入力。支払日が近づくと、表計算ソフトで支払依頼書を新たに作成していました。ところが内容を確認したところ、以前に入力した仕入情報とほとんど同じだったのです。そこで仕入情報から支払依頼書を作成する機能を追加し、課題を解決することにしました。ところが、開発完了後に操作説明を行っていると思わぬ盲点が…。日本では製品やサービスを仕入れた場合、納品されたら仕入として計上するのが一般的です。そのため納品日に仕入計上される仕様を想定していたのですが…中国は違いました。異なる商習慣があったのです。『発票（パーピヨン）』という書類を入手して、初めて仕入計上できる『発票主義』という文化です。仮に納品後でも発票を取得していないと計上できないため、取引によっては計上前に支払依頼書を準備する必要があったのです。結果的に仕入計上前でも支払依頼書を作成できる仕様へ変更。異国の文化まで知る重要性を改めて痛感した一件でした。大切なのは“お客様が何を求めているのか”。国が違っても、本質を把握することですね。