「下支えする」という意味をもつインフラストラクチャー（Infrastructure）の略が、インフラ。IT業界ではPC・ルーター・サーバー・LANケーブルなどのハードを中心に、セキュリティソフトやグループウェアなどのソフトも含むことがあります。導入するシステムや目的に応じてどんな機器が必要なのか、どんなセキュリティ対策を施すのか、基盤を整備するのが役目です。大切なのは要件定義で、機能要件と非機能要件を分けて考えること。お客様が「システムにどんな機能を要望されているのか」を明確にするのが機能要件です。一方で要望としていただいていなくても、満たすべき要件が非機能要件。可用性（汎用性と安定性があるか）、性能・拡張性（使用者が増えても快適か）、運用・保守性（運用や保守がしやすいか）、移行性（移行作業がしやすいか）、セキュリティ（セキュリティ対策は万全か）、システム環境・エコロジー（オフィスや地球環境に配慮されているか）などの観点から洗い出していきます。ヒアリング力はもちろんですが、PCやサーバーをはじめとしたハードから、ソフトまで、幅広い知識が求められる仕事です。

DRというのはDisaster Recovery。大規模災害などが起きてもバックアップを構築しておくことで、速やかに復旧させることです。もともと岡谷鋼機は自社のデータを名古屋本社で一括管理していました。約200台のサーバーを、セキュリティも災害対策も万全なサーバールームに設置して。しかし“想定外は起こり得る”と2011年の大震災で学び、プロジェクトが動き出すことに。総予算は数億円、およそ3年がかりのビッグプロジェクトです。バックアップ用サーバーを設置するのは、「災害の起きにくい地域が望ましい」という観点から国内某所を選定。通信環境、電力供給などを考慮しながら土地を探し、機器などの手配も当社で行いました。設置環境や効率面から現地へ設置するサーバーは1台。200台分のデータを処理する必要があるため、仮想化技術を用いて処理容量を増やし、かつ、クラウド上で名古屋のサーバーと1日2回同期するように環境を構築しました。加えて有事の際は東京からデータを管理できるような体制も整備。僕たちインフラはもちろん、開発や社外のパートナー企業も巻き込んだこのプロジェクトは2015年にリリースし、現在は稼働しています。